「紫」 一覧
「ほんとうは強き心で、夢を見ているの。」
「ほんとうは強き心で、夢を見ているの。」
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太陽が秋空に揺れる。鮮やかな空は
あの頃の音を蘇らせた。
まだたどたどしい指先の旋律。
だけれど、無我夢中で音を必死で探していた。
それは刃のようでもあり危うさでもあり
未熟さでもあった。
あの日の音に耳を傾けて
あんなふうに伸び伸びと、誰のことも気にせず
弾いてた頃が今は懐かしい。
思い出すのはあの時の熱。
パラソルが揺れていた。
それは五月のこと。
忘れてたものを拾いに来た。
足跡がいくつも転がっていて
変わっていたものもあった。
そして変わらないものもあった。
やがて雨が降り始めた。
確かなあの日の記憶を、思い出していた。
新幹線のベルが轟く。
交錯する人達の喧騒がベルの音に混じった。
ここにいたから今私はこうして
笑っていられるのだろう。
そう言って、新幹線へ飛び乗った。
窓の向こうで君はおぼろげに笑っていた。
行かなくちゃ。
しんしんと降り積もる雪は
まるで私の心みたいに静かな熱情で
燃えていた。
それはひそやかで息も細く
生きながらえるのなら
散りばめられて海に葬られて
無かったことにされたい。
季節は瞬く間に雪の結晶のように
一瞬を閉じ込めては消えていった。
帰り着く場所はやはりここなのでしょうと
苦笑いした。
それならば貴方に話しかけるように触れた。
「私はここにいるよ!」と。
貴方なら例え暗くても怒っていても
あらわしてくれるでしょう。
私の心と対話してくれるでしょう。
私はここににいる、叫んだ。
小さくて汚らしい心だけれど
構わない。
貴方はそういう私を見てきた。
今、対峙して心を露わに、
私はきっとやめない。
季節は瞬く間に雪の結晶のように
一瞬を閉じ込めては消えていった。
帰り着く場所はやはりここなのでしょうと
苦笑いした。
紫の風は吹いてきた。
私は誰にも負けない風になる。
日々は過ぎて明日も続くことが
幸せで、明日が、明後日が
“楽しみで”
日々の彩り、植物の水遣り
美味しいものを作れば
自然と笑顔で
紫の風はすべての過去を
吹き渡らせて
「ここにいていいんだよ」と
教えてくれる。
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