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「緑」 一覧

「きらきらって。まぶしいけれど、どこか懐かしい視界。」

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熱情の火花

2022/07/27

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赤いりんごは
手の届かない場所で佇んでる。

手を伸ばそうとすると
すぐに転げ落ちて
喉の乾きは止まらず
咳込んでしまう。

いつもやっていることならば
上手く誰もが認めてくれた。

そのぬるま湯の中で生き続けることは
いくらでもできたけれど
私の心の中の熱が
あのりんごに手を伸ばそうと
必死だ。

誰もが取れないよ、と
冷笑した。

私の瞳の中の輝きがバチバチと
火花を放っている。

絶対に掴み取るまで
あきらめない。
絶対に掴み取るまで
この手を伸ばし続ける。

ピアノ即興 更新履歴

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空気のように漂う

2022/04/27

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哀しいことは尽きなくて
その度いろんな感情や考えが入り混じって
混沌とした渦を巻いていて
私は外側からじっとその世界を眺めて
瞼を閉じて考えた。
深い哀しみが想像できないぐらいに
佇んで、それは一切誰も知ることができない。
哀しい争いは尽きなくて
剣を持った人が沢山傷つけたり
傷つけられたりして
私はそんな世界でただ傍観するように漂っていた。

更新履歴 ピアノ即興

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大地はつながっている

2022/03/13

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春は遠く、世界では哀しみが起きていた。
こんな風に梅が咲いて湖は輝いて
畑では新しい命が芽吹いて
それなのにそれ以上何を求めるというのか。
サンダルで緩い足元をぐらつきながら歩いていく。
ぬかるんだ土の場所もあれば
しっかり歩ける砂利道もあった。

幸せもあれば哀しみもあった。
幸せな人がいれば哀しみに暮れる人もいた。
そのことを何も気にも留めない人もいた。

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夏の旅路

2021/07/17

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あの森の奥の湖で君は絵を描いていた。
きらきらと水面が光反射して
眩さは自分のどす黒さに痛く沁みこんで
許されないようで
一瞬にして白い何も見えない霧の中に
閉ざされた。
僕はそれでもこの道を選んだ。
それは呪いでもあった。
それは赦しでもあった。
あの霧の向こうへ僕は必死に歩いて
目指すのだった。

ピアノ即興 弾き語り 更新履歴

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新快速二番線より

2021/03/05

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新快速、二番線より
発車の音が轟く。
この音は少し東京と似ている。

私はこの風景を知っている。
第二の故郷が近づくにつれて
はじめての故郷が重なって見えた。

なぜかほっとして、
なぜかすっと力が抜けて

心強くて、愛おしくて
待っている人のもとに
帰るのだ。

こんな田畑の夜の風景を見て
もっと、もっとなにも建物のないところまで
連れてってと願う。

あなたが待っているその駅へ。
ゆけ。ゆくんだ。

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五月の泳げない魚

2020/05/12

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プカプカと小学校のときの
プールに浮かんでいた。
それはまるで死体のように
空ろな目をしている。

夏の授業は恥ずかしくて
いつも水に入らなかった。

プールも習ったが
いつも手洗い場に逃げていた。

水に浮かぶだけで
人は必死だ。自分のことで
いっぱいでただ浮かぶことしかできない、
私はいつまでもプールに浮かんだまま
横目であのリアルを見つめている。

プカプカと小学校のときの
プールに浮かんでいた。
それはまるで死体のように
魚みたいになれないまま大人になってしまった。

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確かな光

2019/11/30

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列車、最後の車両から見える景色は
だんだんと遠ざかってゆく。
こんなにも残酷なほど目に見えるほど
トンネルのなかで滲む光は
弱い心を無理矢理でも
立たせようとする。
この景色をあの日も見た記憶がある。
確かに雪は降っていた、積もっていた、
心は歩きだしていた、
とても正直だ。
さ迷う暗闇が晴れていく、
じきにこの雪もやむだろう、
隙間なくうめられた未来が諭す、
「どんな朝がきたって構いやしない、
 どんなに、這いつくばっても。」

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ひとひらの光、曇り空の向こう

2019/10/10

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陰のかかった曇り空、高くなびいている。
小鳥たちのさえずりが聞こえる。

一歩、一歩、踏み外さないように
歩いていくのは大変で
明日や明後日、ましてや今日のことを
考えるだけで今は精一杯だ。

それでも、時間の流れははやくて。
流れに流れることもできない。

陰のかかった曇り空、高くなびいている。
胸の内はざわめき始めている。

秋、ひとひらの光を抱えて
落とさないようにする。

更新履歴 ピアノ即興 水色

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息を吹き返して

2019/07/06

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海面を目指して水の中から
また息の吸える場所を目指して
勢いよく顔を空へ見上げるようにと飛び出した。
不条理なこの今の状態を
どうにかしたくて
また地面へと足をつけた。
逃げ場にしていた、
潜れば何も傷つかなくて済むから。
久しぶりに見上げた空は
過去と繋がって流れてきた、
だけれど心の中は前を向いていた。

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音は色褪せることがなかった

2018/10/22

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きらきらと瞬きをする、教室だ。
肌色のカーテンゆれていた。
次第に鍵盤を奏ではじめた。
一斉に歌い始めた、
ざわりと心が震えた、
意識はどんどん深くのめりこんでいく、
歌声と教室のピアノの音が体中を支配した。
あのまっすぐな瞳。

「ここに、いたんだね。」
彼女はその教室の一番後ろで眺めていた。
やさしい音が次第にやってくる。
ここにいた確かなこと。
気が付いたら瞳は濡れていて
ベッドの上にいた。

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