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「mono」 一覧

「はじまりと、おわり、どちらのほうがかなしいかなって。」

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飲まれる想い

2024/11/03

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全ての事が手のひらから
ゆるやかに落ちる頃、
凍てつく季節がやってきたのだ。
いつからか、気付いてはいたのだ、
ひび割れが出来ていると
気付いた頃には遅かったのだ。
波は押し寄せてぐんぐんと
闇に飲み込まれるのだった。

“好き”が”嫌い”になっていく
もうどうやっても止められなくて
塞き止めようとしても
どうにも出来ず
波はどんどん私を流していくのだった。

悲しい。
苦しい。

ただその二つがさらにそれを加速させるのだった。
波がずっと私を流して流して
遠くにやっていく。
二度と、同じ場所に戻れぬように。

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世界と貴方と私と

2024/10/14

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街の喧騒が今は嘘みたいだ。
ネオンが揺らめく世界から一変、
静寂の中であなたとお別れしている。

言葉がいくつも降りかかって
必死に自分を保っている。

街の喧騒が嘘みたいだ。
ロープウェイで見ていた景色のように
ひとも世界も変わり続ける。

変わらないのはずっと自分だ。
自分だけが変わらなくて
世界はこんなにも変わっていく。
あなただって、また会う時には
変わるのでしょう?

手のしわが増えて、やがて華奢になっていくのでしょう。
それは止めることができなくて
悔しかった。

汽笛が鳴って新幹線に飛び乗った。
帰らなきゃ。
真っ直ぐに見れない世界がそこにはあった。

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水へ消える

2024/07/09

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裸足で水面に片足、そしてもう片方の足をつけてみた。
歩いていけば歩いていくほど
深くなっていく。
ぬるま湯みたいに身体中が水の中へ
危うさとともに安心感を覚えた。
もっと先へ。もっと先へいこう。
彼女は言った。危うさと安堵は紙一重なんだって。
深くなっていく、身体も心も溺れてしまおう。

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流水のような日に

2023/02/18

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小雨だ。窓ガラスに水滴がついている。
その向こうに電車の光が揺らぐ。
駅の喧騒の中で強く想いを馳せていた。
強い心。打ち明けた心をぎゅっと握りしめる。
私はそっと片足を前に出して
しっかりと地を踏んで
だけれどしなやかに座席のシートへと
するりと流れ落ちた。
電車がやがて汽笛を鳴らして
動いていく。
ユーモアの効いた歌でも聞きながら
帰ろうか。
心強く走り出す。心はすとんと着地した。
終わりのようで、これは出発なのだと気が付いたから。

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四月の東京の雨はきれいだ

2022/04/25

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外はどしゃぶりだ。両手いっぱいに
抱えた荷物に体は応えながら
モノレールへと飛び乗った。

外は湿気があるが冷ややかな風が
換気をしている車両の窓から
ひゅるららと吹いて汗ばんだ身体を癒してくれた。

「風、気持ちいいね」

どうしてだろう、雨の中、
東京の景色が空気は汚れていても
沢山のビルが並んで喧騒していても
美しい風景に心留めていた。

幾度に願った。
ここにまた来て沢山の人と関わることを。
幾度も夢見た。
こうしてまた来て、雨の中の
モノレールでもう何も車内の喧騒は聞こえず
ただただ、雨の街並みに見とれていた。

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水と石の入ったボトル

2020/02/28

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水分の沢山含んだ雪が
降り続ける。ざわざわとうねり始める
その世界でその色に染まらないように
ただ自分の信念を曲げないようにして
手を動かし始めた。
出来ることなら、もっと
動けたらとも思うのだ。
若干湿った外の世界は静かなのに
混沌としている。
一歩、また一歩、心は雪のように
冷たい。
身体は、熱い。
それなら、まだ死んでいなかったのだろうと
思う。抜け殻みたいなボトルに
水分が溜まっていく。

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生きる衝動

2020/02/06

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―目は覚めたか。

水は押し寄せる。途端に部屋の中で
水かさは増す。もがく、息が出来なくなる。
ざぷん。水の中に入ってしまえば
瞼も開けれなかった。
そう、昔から水が苦手だった。
お風呂の時だって怖かった。
息も出来ない。苦しい。
それでも必死にもがく。
まだこの状況でも生きたいと願うのか。
もがいて、もがいて、
泳ごうとした。手も足も掻きながら
次第に瞼を恐る恐る開けた。
もしかしたら泣いているのかもしれない。
こんなに、こんなにまでなっても、
生きたいと願うなんて。
手を伸ばす。僅かな隙間から射す光は
霞んでいる。ぼやけている。
あの場所に辿り着くことはもう少しで出来た。
あの場所に辿り着いても
僕はどういうふうに生きていけばいいかわからない。
それでも、必死に手足を掻いた。
光が見えてきた。
光じゃない光。
僅かな光だったが、それは光なのかもわからない。
ここで助かっても幸せになれるかわからない。
このまま沈むことも考えた。

―目を覚ませ。

次第に体が勝手に動く。
光へ、光へ、まっすぐと。

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die

2020/01/09

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気がついたらなにも見えなくなっていた、
声も出なくなってた、
足も一歩も踏むことができなかった、
ただ、真っ暗だった。
怒りも、かなしみも、
感情も全て内側へころした、
気がついたら何も言葉が出なくなっていた、
青ざめた顔で立っていた。

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令和の音

2019/04/01

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新元号「令和」に寄せて。
聞こえる、令和の音。

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その階段を下りても世界は続くでしょう

2019/03/05

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/YOUTUBE版

その一歩を踏み出せば
いつもなら、世界との境界を感じるぐらいに
視界は真っ暗になって
怯える世界に戻ることになるでしょう、
だけれど今ここからは違う。
この一歩を踏んでこの線を越えたとしても
同じ世界のままだ。
幸せを感じることの違和感がなくなった日々は
視界は明るくも暗くなくて
世界に自然と綺麗なまま馴染んでいるのだった。
疑問に思うこともなかった、
これまでの足跡は確かに今日に息づいてる。

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