まどろみの中の目隠し
2016/06/06
まどろみの中で、またあなたは現われた。
何も言わず、ただやさしく笑うので
声をかけようとすると、あなたは急に泣きだした。
あなたがなぜ泣いているのか、わからないまま
私はそこで立ち尽くして、眺めていた。
あなたは、そうしてまたやさしく笑う。
あなたは、そうしてまたやさしく笑うので、
私はまたわからなくなって
遠回りするように、とぼとぼとあなたとは遠い世界を
底の低い世界を亀のように歩き続けた。
まどろみの中で、またあなたは現われた。
私は両手で自分の右目と、そして左目を隠した。
夢から覚めるために (三部作)
2016/05/06
夢から覚めたら(第一部-時の経過)(時の経過)[download id="573"]
夢から覚めるために(第二部-心模様)(心模様)[download id="574"]
夢から覚めるために(第二部-未来へ)(未来へ)[download id="575"]
言葉にしてしまうと、すべてが幻のように思えた。
凛と張り詰めたその世界に私は確かにいたのだ。
まるで長い夢を見ていたかのように、目が覚めて
カーテンを開いた。
戻ってきた世界の方が嘘のように思えるのに、
だんだん体は感覚がこちらに戻り始めてきて
心だけを向こうに置いてきて、
目が覚めても、まだ心が戻ってこない。
呼んでも、呼んでも、返ってこない。
言葉にしてしまうと、すべてが幻のように思えた。
写真を撮ったり、作品にしてしまうことすら
今は勿体無くて、うなだれるようだ。
私はピアノを開ける。鍵盤の赤い布を外して
ピアノをやさしく拭いてあげた。
そうして、そっとやさしく触れる。
歌う、歌って、叫んで、奏でていく。
それすら、虚像だ。
言葉にしてしまうと、すべてが砂のように零れていくから
ピアノを奏でて記録していく。
そのときの気持ち、感覚、風景、思い出をしまっていく。
精一杯、詰め込んだら。また出発しよう。
言葉にしてしまうと、違うような気がするから
私は精一杯、お日様に向かって進んだ。
future - ver.2016 -
2016/04/11
(序章)future ver.2016 (???序章)[download id="568"]
また、だ。こわくて、不安で、どうしたら、いい。
真っ暗なのに、輪郭ははっきりと見えた。
(本編)future ver.2016[download id="569"]
弱さに気付いたから、早足で
明日へと駒を進めた。自分の弱さなんて
今に知ったことじゃなかったのに、
こんなに不安なのは
たくさんのことが待っているから?
また朝が来た、また今日も始まった。
冷たい気持ちと、興奮と、怒りと、熱情と
ともにして、なにもない場所へ足を蹴飛ばして
飛び込んだ。
☆素材のご利用は、(本編)のみ可能です。
序章の利用は不可とさせて頂きます。
遠のく世界
2015/09/10
怒った顔の槇が
一冊の寂れたえんじ色の本を手に取った。
ぶつかったときの衝撃、落としてしまったせいか、
分厚い表紙がぶらりと、取れてしまっていた。
祐は頭がぐるぐるした。
槇は強い口調で吠えるように言った。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより