道
2015/09/07
心が彷徨っているから、何度だって
問いかけたんだ。自分が間違っていたのだと
認めながら、目を背けて外に出ては笑った。
夜になれば、ベッドで呻き、転がるようにして床に落ちた。
苦しいときは、楽しいことをしようと思っても
ほんとうのことから背けてはいけないと
心の中にいる自分は、過去を指で描いて
おしえてくれた。
殻を打ち砕き、外へ、外へと向かっていく。
思えば、そのことばかりを求めて。
思えば、そのことばかり求めすぎて。
求めすぎて。
私は遠い日のことを、そっとまぶたを閉じて
風に吹かれながら思い出していた。そっと、だ。
求めるほうが、無駄だと思っていた。
ないものは、ないものだと思っていたんだ。
求めれば求めるほどつらくなるから、
それならあきらめればいいと。
目を開ければ、いっぱいになった容の中で
ばたばたと溺れていた。
「私は、」
穏やかな調べ
2015/08/08
「雨、降ってるから、心配になって」
少年はそばにかけより、声をかけると
青年はしゃがみながらゆっくり振り向いた。
「雨の海を見ていたんだよ」
雨の海を眺める青年は穏やかな表情の奥で
とてもさびしい顔をしているような気がした。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
銃声。走る少年 ver.demo
2015/02/27
全力で走るしかなかった。
今の俺にはそうすることしかできなかった。
足を精一杯動かして、走り続ける。
それが今の俺にできること。
「待てぇっ…―――――止まりやがれ!大野大地!!」
一人、いや二人…もしくは三人、それ以上?
静まり返る海が近い港の倉庫が並ぶ中、
俺は奴らから逃げていた。
息が切れる中、建物と建物の間の狭い路地を見つけ、
そこに転がりこむように入った。
息を吸って吐いて、整える。奴らは近くにいる。
油断はできない。
壁に寄っかかりながら、ポケットから飴玉を取り出して
口の中に放り込んだ。
☆2015春M3で頒布予定の新作アルバム、
「フエラムネの向こう側」より収録トラック。
マスタリングは今作は「pebble」に引き続き、
高岡兼時さんにお願いしております。
こちらはマスタリング済みです。本収録ではfull版です。
今作は、宵町めめさんによる、
ブックレットイラスト集付きです。
ジャケットは、ブックレットに収録される
イラストの一部です。