ひらり、秋がきました。
2015/08/23

詩
そうして、今年も。秋がやってきた。
秋が、 やってきたんだ。
空は、すっかり 高い雲が まばらに広がっていて
かすかに、風が はこばれてくると
まぶたを、とじた。
「涼しい」
この風や 匂いを 身体中がおぼえているようで
さみしい気持ちと そして
うれしい気持ちと。
遠き日のことを 思い出しながら
そっと まぶたをひらくのだった。
☆少し空が高くなったような感じがしまして、
初秋の朗読作品を制作しました。
いつも。視線の向こうには君がいる
2015/08/17

砂浜に、今日も駆け降りた。
カモメの鳴き声が水の上で響く。
ゆっくり、日が沈む海の向こうの空を眺めながら、
海小屋に向かった。
今日は海小屋に、ランプがついているように見えた。
あの人がいる場所へ、気が付けば足を運んでいた。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
落ち葉の時間
2015/08/10

落ち葉が好きだった。
たとえば、雨の日水滴がついたガラス窓よりも、
檸檬色のカーテンがふわり、舞うように
揺らめく風景よりも、落ち葉が好きだった。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
穏やかな調べ
2015/08/08

「雨、降ってるから、心配になって」
少年はそばにかけより、声をかけると
青年はしゃがみながらゆっくり振り向いた。
「雨の海を見ていたんだよ」
雨の海を眺める青年は穏やかな表情の奥で
とてもさびしい顔をしているような気がした。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
こつこつと、それは舞う。
2015/08/02

先生が黒板にチョークを叩くようにして、
字を書いていくのだった。
少年はそれを見つめ、眺める。
チョークの音がこつこつ、時々粉が舞っていく。
深緑の黒板に淡い黄色・桃色・水色、
そして白色が彩られていく。
その風景は、少し好きだった。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
やさしい出会い
2015/08/01

ここは、海が見える町だった。
学校の帰り道、海沿いの道から
そっと砂浜に駆け降りると、
折り畳みのキャンプで使うような翠の椅子に
深くもたれかかり海を眺めているお兄さんがいた。
その姿は、どこか悲しそうで寂しそうで
それでも穏やかな表情を崩さないように
お兄さんは、ただただ、海を眺め続けているのだった。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
瞼を閉じて、想ったんだ。
2015/07/28

とおくの、かなしいしらせを聞いて、
僕は、まぶたを閉じてその人のことを
想像した。いろんなことを、想像した。
幸せに生きる人がいる。
そして、今もどこかで誰かが苦しんでいる。
そして。誰かが今日もいなくなる。