「ピアノ即興」 一覧
2016/01/01
向こうで明かりが差す。やわらかな海の夢を見た。
遠い地平線の向こうで、山吹色の光が
放射線状に伸びて。波の音が音楽みたいに
心を揺らして、鼓動が高鳴る。
手を伸ばして掴もうとして、目が覚めれば
ベッドの上にいた。檸檬色のカーテンが光っている。
行こう。カーテンを開いて、窓を開いて飛び立つように
乗り出した。
更新履歴 黄色
2015/12/29
僕は言った。
「ほんものをさがしにゆくよ」
本当の気持ちをさらけだしはじめた少年は
強い眼差しでまっすぐ前を向いていた。
迷いのない瞳には世界が大きく広がる。
更新履歴 赤
2015/12/28
日常は、過ぎる。遅くもなく、早くもなく、
同じ速さで。変わっていくのは私。
仕方のないことで苦しまなくなった日々は
どこか欠けているようにも感じたんだ。
すごく楽なのに、すごくさびしいのは
きっと苦しんでいる自分も、自分の一部だったからだ。
失くしてしまった心に触れようと手を伸ばした。
だけれど、届かなくて。
これから、どうやって、この心で
紡いでいいのか、わからないんだ。
更新履歴 黄色
2015/12/23
窓の向こう、空を見上げた。
星や満月がやさしく笑うから、僕もそっと笑い返す。
なにを想おう、なにを祈ろう、今日は特別な日。
あたたかな場所へ向かう。
街へと、雪や光の中で君を見つけた。
手を振れば、君は雪のように笑ったのだった。
更新履歴 橙
2015/12/22
何も出来なくても明るい気持ちで溢れていた。
少しだけ大人になって見た世界は、
辛い場所もありながら、それを知るからこそ
感じる幸せがあったのだ。取り巻く人は言う。
君は一人じゃない、と。
そうだ、私は一人なんかじゃなかった。
弱さを見せる。そのたびに、支えてくれる人がいて。
私は生かされているのだと、知った。
更新履歴 桃色
2015/12/14
まるで、終わりがない道を歩いてるみたいだ。
雲の隙間から光が伸びて、大きな石がいくつも降ってきた。
ポケットの中から手鏡を出して、自分の姿を見る。
辛い。絶望が湧き上がって、目を瞑った。
炎のような暑さの中で、熱を込めた気持ちを
しっかりと持った。
生きていればなんだって起きるから、
燃えるような気持ちをずっと、ずっと持ちつづける。
思いつづける、まっすぐ、まっすぐと。
更新履歴 赤
2015/12/09
毎日は風を切るように終わる。
一日、一日、どんな日だって終わっていくんだね。
外へ出ない日も、夢のような一日だって。
でも、それはかなしいことじゃないよ。
一歩、一歩。確かに自分を刻んで、道を歩いている。
更新履歴 黄色
2015/12/04
(通常版)
静かな海の墓場[download id="523"]
(効果音無版)
静かな海の墓場(ver.効果音無)[download id="524"]
静かな海の中で瞼をとじていました。
その日は晴れていたように記憶しています。
水面には光がゆらりと泳いでいました。
抗うことなく、沈んでいくその様は
まるでこの時のことを知っているかのようで
口元には微笑みがあるのでした。
☆効果音無版のみ、素材利用可です。
効果音入りの通常版のご利用はご遠慮ください。
更新履歴 青
2015/12/03
「寒いね、」
君は笑った。俯いた顔で頷いて、灰色の空を見上げた。
視界はぼんやりと、膨張するようにして揺れた、
雪がちらちらと舞っては君の肩にやさしくそっと落ちた。
マフラーが風に揺れて。君もだんだんぼやけていく。
目元が冷たい。雪がじんわりと染みるようにして、
涙のように流れていく。
こんなに寒いと、消えてしまいそうなぐらい
胸が締め付けられて。生ぬるくも、苦しくて。
更新履歴 紫
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