あの夏のことを忘れない
2018/06/05


その線から、その崖から
何もさえぎるものはない。
宙に浮いた私はそのままどんどん
加速していく。落ちていく。
沢山人がいるのに、その場所で
ひとりだけしかいなかった。
消えかかった闇の中に放り込まれて
だけれどその闇に呑まれることを
最初から知っていた。
眩い光を覚えているか、
ついこの間のことだ、
眩しすぎて思い返せない、
あの暑かった、夏の始まり。
ありあまる心は振り返れないでいた
2018/05/28


ガラクタばかりがまた増えていく。
街の中でいくつもの音が忙しなく通り過ぎる、
またひとつ、ふたつガラクタが増えた、
交差点で沢山の人たちがすれ違う、
そうしているうちにも、ありあまった心は
蓋が開いた水の入ったボトルが倒れたみたいに
流れ落ちた、流れていく、
押し流されて、
戻れない。
霧のない世界に立っている
2018/05/17


目の前には、今まで見えていた
濃い霧や、強く尖った矢の幻も
見えなくなっていた。
振り返ることも時にはあれど
だけれどそれ以上に想うことが
出来たのだと想う。
だってそうでしょう、私が歩ける場所は
過去ではないのだから
こんな風にとん、とんと地面を蹴って
何にも構わず、突き進んでいくんだ、
もう何にだって怯えやしない。
ここにいることの確かなる実感を感じながら
生きていることを強く思いながら
もっともっと、手のひらを伸ばして
沢山のかけがえのないものを
愛していくのだ。
心は再生した、確かなる光を感じた
2018/05/11


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心には愛しさ、芽生えはじめてから
いくつも風景は変わりはじめていた。
視界は明るい。そのことに
違和感も今は感じない。
かけがえのない愛しいひとたちが
音を待ってくれるひとたちが
そこで佇んでいる。
こちらを笑顔で見守ってくれる。
こんな風に、永続的に幸せを感じることが
今なら怖くないのだ。
光は降りそそぎつづける。
心に愛しさがあれば、いつまでも
いつまでも降り続けるのだろうと誓った。