四月の東京の雨はきれいだ
2022/04/25
外はどしゃぶりだ。両手いっぱいに
抱えた荷物に体は応えながら
モノレールへと飛び乗った。
外は湿気があるが冷ややかな風が
換気をしている車両の窓から
ひゅるららと吹いて汗ばんだ身体を癒してくれた。
「風、気持ちいいね」
どうしてだろう、雨の中、
東京の景色が空気は汚れていても
沢山のビルが並んで喧騒していても
美しい風景に心留めていた。
幾度に願った。
ここにまた来て沢山の人と関わることを。
幾度も夢見た。
こうしてまた来て、雨の中の
モノレールでもう何も車内の喧騒は聞こえず
ただただ、雨の街並みに見とれていた。
大地はつながっている
2022/03/13
春は遠く、世界では哀しみが起きていた。
こんな風に梅が咲いて湖は輝いて
畑では新しい命が芽吹いて
それなのにそれ以上何を求めるというのか。
サンダルで緩い足元をぐらつきながら歩いていく。
ぬかるんだ土の場所もあれば
しっかり歩ける砂利道もあった。
幸せもあれば哀しみもあった。
幸せな人がいれば哀しみに暮れる人もいた。
そのことを何も気にも留めない人もいた。
雪解けの季節に心躍るだろう
2022/02/12
季節の移ろいは早いもので
あれほどに積もった雪も地面が見え始めて
濡れた道は春を感じさせた。
雪解けの匂いは故郷を思い出させてくれる。
やがて身体は動くようになり
心は軽くなるだろう。
幾度も願った、春が訪れてほしいと。
投げやりな私は全てを委ねることにした
2022/01/24
しんしんと降り積もる雪は
まるで私の心みたいに静かな熱情で
燃えていた。
それはひそやかで息も細く
生きながらえるのなら
散りばめられて海に葬られて
無かったことにされたい。
言葉では足りない
2021/11/23
しんしんと降り積もる雪がずっと記憶にあった。
それは時に何もかもを奪う敵となった。
それは未来さえも闇に葬るようでもあった。
私が歳を重ねた頃全てを薙ぎ捨てた、ようにも思えた。
あくる日の今日を迎えた時
全てを捨てたわけじゃないと知った。
それは間違いでもあり間違いでもなかった。
あのキラキラした輝いている瞬間を覚えているか。
忘れてしまっていたのか。
それともわすれようとしていたのか。
全てから離れるために悪にしていたのか。
言葉をいくつ重ねても足りていない。
あの輝きを思い出した時
私は息苦しい思いを全て解き放った。
全てはこの日のためにあった。
胸が焼けるように熱かった。
何もかも後付けがましい。
後付けのようで美化のようでもあり
だけれど確かそこに輝きがあったのだと
お前は思い出す。
悲しいぐらいに振り切った。
何もかも人のせいにした。
だけれどはずっと、自分の中に
輝きがあったんだ。