その日、森に行くとイイデショウ
2024/10/09
占い師の女は指を差した。
早く行かないと奪われちゃうよ、と。
私はその森へと進んでいく。
やがて沢山の人が笑顔で立っていた。
笑顔の人たちに招かれた私は
まるで魅了されながら森の奥へと進んでいく。
探し物はなんだったかもう覚えてはいない。
占い師の女はくすくすと不気味に笑って
林檎を齧った。
あの空を思い出していた
2024/09/03
太陽が秋空に揺れる。鮮やかな空は
あの頃の音を蘇らせた。
まだたどたどしい指先の旋律。
だけれど、無我夢中で音を必死で探していた。
それは刃のようでもあり危うさでもあり
未熟さでもあった。
あの日の音に耳を傾けて
あんなふうに伸び伸びと、誰のことも気にせず
弾いてた頃が今は懐かしい。
思い出すのはあの時の熱。
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パラソル・トーキョー
2024/05/14
パラソルが揺れていた。
それは五月のこと。
忘れてたものを拾いに来た。
足跡がいくつも転がっていて
変わっていたものもあった。
そして変わらないものもあった。
やがて雨が降り始めた。
確かなあの日の記憶を、思い出していた。
新幹線のベルが轟く。
交錯する人達の喧騒がベルの音に混じった。
ここにいたから今私はこうして
笑っていられるのだろう。
そう言って、新幹線へ飛び乗った。
窓の向こうで君はおぼろげに笑っていた。
行かなくちゃ。
熱情の瞳
2024/04/30
絶望の雷は幾度もなく落ちてきた。
大ぶりの雨が叩きつける。
言い訳は何度だってしただろう。
叫んで泣いて怒って
その一瞬の日を幾度も憎んだ。
それは、呪いでもあった。
投げだしたら何も残らないから。
体や心が削れ果てても
どんなに絶望しても
気が付いたら手や足は動き始めていた。
これしかないんだって苦笑いした。
だって全てこれしかなかったから。
まるで呪いだ。
やめたくても、やめたくても
やめられない。
投げ出すことは簡単なはずなのに
それが出来ない。
どうしてかすがるように
しがみついて
気が付いたらまた私はここにいたんだ。
だってそうでしょう、
そのために、今まで生きてきたのだから。
動け。手を休めないで
足を動かし、言い訳なんてしないで
動き続けろ。
動き続けろ。
命を懸けて
2024/03/27
よくわからないんだ。
どうしたらいいか
どう進めば
全てを捨てたらいい?
やりたいことをあきらめればいい?
それとも全部やめたらいい?
何度も何度も頭を打ち付けて
叫んでは獣みたいに鳴いて
わからなくてわからなくて
幾年も彷徨い続けた。
それでも、それでも
続けたいって
雪が降り始めた頃
もう、期待なんてやめてさ、
力を抜いて、
結果なんていいからやり抜いていこうって決めた。
自分は才がないから、
才なんてこれっぽっちもないから
受け止めて
そっと、熱く表現していって
紡いでいった。
春のこと、君に私はこう言った。
「あきらめなくて本当によかった」
続けていたらいつかは……
期待はそれでもしない、
だけどちょっとだけど息ができるようになった、
才は相変わらずない
だけれど、やりたいことがあるなら
血を吐くぐらいやり続けるんだ。

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