やさしい出会い
2015/08/01

ここは、海が見える町だった。
学校の帰り道、海沿いの道から
そっと砂浜に駆け降りると、
折り畳みのキャンプで使うような翠の椅子に
深くもたれかかり海を眺めているお兄さんがいた。
その姿は、どこか悲しそうで寂しそうで
それでも穏やかな表情を崩さないように
お兄さんは、ただただ、海を眺め続けているのだった。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
瞼を閉じて、想ったんだ。
2015/07/28

とおくの、かなしいしらせを聞いて、
僕は、まぶたを閉じてその人のことを
想像した。いろんなことを、想像した。
幸せに生きる人がいる。
そして、今もどこかで誰かが苦しんでいる。
そして。誰かが今日もいなくなる。
少年の心
2015/07/27

この世にはずれを感じる人と、
それに気づかないで生きていく人がいると
祐(たすく)はずっと思っていた。
「祐くん、落ち葉、本に挟まってたよ」
黄金色や茜色の木々がやわらかい日差しを浴びて
光は祐の頭にかかるようにして、降り注いだ。
☆サウンドノベル
「朝焼けのブルー?-Pianissimo episode-」本編BGMより
誰もいない夕暮れの図書室
2015/06/06

窓から、茜色の夕焼けがぼうっと霞むように照りつけた。
本棚にも茜色の光が射して、図書室は茜色に染まるのだった。
向こう側から電車が走る音が遠く聞こえた。
静かな図書室だから、色んな音や光が
よく聞こえたり、見えたりしたのだった。
そっと瞼を閉じて、かけがえのないものに全てを研ぎ澄ませて馳せた。