命
2023/07/01
とても、とても小さなカエルが跳んでいた。
懸命に飛んでる姿を
じっと、私は見つめた。
雨はずっと降っていた。
電話の後だった。
ずっとずっと雨が降っていて。
想いを遠く、遠く馳せた。
叫びみたいな憤りが込み上げて
私に語りかける。
「命を粗末にしていた君が、何故」
身を投げ出したことだって幾度もあったのに。
貴方の命は長いようで一瞬で
気が付いたら会えないまま
立ち上がれなくなって
歩けなくなってしまっていた。
何故生きているという問いは
果てしなかったのに
今こんなにも愛おしい命の数々が
私を見つめていた。
大事な愛おしい命が沢山、
私へ教えてくれる。
"命"を。
穏やかな破裂
2023/06/12
拍手とともに視界は真っ暗になった。
幾度もそれを経験した。
幾度も折れそうになった心を
僅かな光の綱で留めていた。
でも、やがてそれは破裂した。
それは、穏やかな破裂だった。
生き甲斐としてたことをあきらめたら
すごくほっとして、ゆるやかな風が吹いてきて
「それでいいんだよ」って
君は悲しそうに笑った。
拍手とともに視界は薄れていく。
もう何も考えることができない。
何度も頭がショートして
眩暈が止まらなくなって
幾度も可笑しそうに笑って
何かのせいにして
自分の問題ではないって
目をそらした。
拍手とともに視界は何も見ることができない。
ここには私が一人、
ただ静かに静かに自分を外側から
見つめている。
何故だかほっとして
ずっと逃げたかったのかもしれない。
呪いは解けたのに。
なぜだろう、真っ暗な視界が
私を微笑させる。
それは穏やかに。
穏やかに。
例えそれが呪いになっても
2022/12/05
幸せでいる日々が全てを忘れさせていた。
"いくら絶望をしても
這いつくばって駆け上がってきた。"
別に、綺麗に整わなくたって
よかったんだ。
よいものを作らなくたって、
よかったんだ。
絶望の淵から必死で必死で
繋いでた綱をまた掴んで
傷だらけになって
苦笑いして
叫んで
そうやって生きてきた。
そのことを思い出せば
何だって身を犠牲にしても
例えそれが呪いのように思えても
何だって出来たでしょう。
出来ないことなんてないって
そう笑った私は忘れてしまっていた。
必死で真心で本気で情熱をかけて
走っていくことを。
目が覚めたなら
何をしていくかわかる。
少し考えることがあれば手や足を動かせば
無駄になんてならない。
手や足を動かし続けて作り続けていく。
それは決して綺麗なものではない、
ガラクタたちだ。
でも私の愛するモノたちだ。
落ち葉舞い落ちるまで踊り続けましょう
2022/11/23
照らされた紅葉の隙間から溢れる光。
飛行機雲がすいーっと伸びて
もう何も悩まなくていいんだと思った。
空は高く雲は淡く
湖は波を打って風に吹かれていた。
何よりも負けない心があるなら
もう怖いものなんてないでしょう。
一歩足を伸ばして
右手をしなやかに手先まで伸ばし
くるりくるりと
私は踊りながら笑った。
それはもう滑稽な姿ではない。
力強く自分を信じている。