まどろみの中の目隠し
2016/06/06
まどろみの中で、またあなたは現われた。
何も言わず、ただやさしく笑うので
声をかけようとすると、あなたは急に泣きだした。
あなたがなぜ泣いているのか、わからないまま
私はそこで立ち尽くして、眺めていた。
あなたは、そうしてまたやさしく笑う。
あなたは、そうしてまたやさしく笑うので、
私はまたわからなくなって
遠回りするように、とぼとぼとあなたとは遠い世界を
底の低い世界を亀のように歩き続けた。
まどろみの中で、またあなたは現われた。
私は両手で自分の右目と、そして左目を隠した。
守る朝
2016/06/02
朝、体が震えているので、君にそのつらさを
おしえてあげた。スコールの明けたその日、
アスファルトはすでに乾いていた。
それでも体が震えるのは、この朝の冷え込みのせいか、
あなたに、ぞわりと近づく明日への不安だろうか、
とにかく今すぐあたたかい
マスカットティーを淹れてあげよう。
朝、体が震えているので、君にあたたかい紅茶を
いれてもらった。フルーツのかおりがして、
砂糖を幾つも入れた。
あなたはうつろな目でぼうっとマスカットティーを口にした。
まだ目も覚めていないのだろう。
朝、体が震えているので、君は自分の手を
ぼくの手にそっと置く。ゆっくりと隣に腰をかけて、
やがてしばらくして、小さく口を開いた。
春の海辺にて ver.short demo
2016/05/13
春の海辺にて ver.short demo
「ねぇ、どうして」
まだ肌寒い春先のこと。
波の音が聞こえた、カモメの鳴き声も聞こえた。
青年も目の覚めていない朝は、すごく静かで、
浜辺では、淡くやさしく穏やかに時間が流れている。
生温い潮風が、佇むように吹いていた。
☆イラスト:Merrill Macnaut様
マスタリング:マシュー様
6月17日~19日に行われるAPOLLO第四回にて
リリース予定の新作アルバム「少女の海から」より。
ティザーサイト公開中。
特設本サイトは5月末公開予定です。
夢から覚めるために (三部作)
2016/05/06
夢から覚めたら(第一部-時の経過)(時の経過)[download id="573"]
夢から覚めるために(第二部-心模様)(心模様)[download id="574"]
夢から覚めるために(第二部-未来へ)(未来へ)[download id="575"]
言葉にしてしまうと、すべてが幻のように思えた。
凛と張り詰めたその世界に私は確かにいたのだ。
まるで長い夢を見ていたかのように、目が覚めて
カーテンを開いた。
戻ってきた世界の方が嘘のように思えるのに、
だんだん体は感覚がこちらに戻り始めてきて
心だけを向こうに置いてきて、
目が覚めても、まだ心が戻ってこない。
呼んでも、呼んでも、返ってこない。
言葉にしてしまうと、すべてが幻のように思えた。
写真を撮ったり、作品にしてしまうことすら
今は勿体無くて、うなだれるようだ。
私はピアノを開ける。鍵盤の赤い布を外して
ピアノをやさしく拭いてあげた。
そうして、そっとやさしく触れる。
歌う、歌って、叫んで、奏でていく。
それすら、虚像だ。
言葉にしてしまうと、すべてが砂のように零れていくから
ピアノを奏でて記録していく。
そのときの気持ち、感覚、風景、思い出をしまっていく。
精一杯、詰め込んだら。また出発しよう。
言葉にしてしまうと、違うような気がするから
私は精一杯、お日様に向かって進んだ。
少女の海から ver.intro
2016/04/25
少女の海から ver.short(伴奏のみ)
少女の海からティザー版(歌有、マスタリング版)
「少女は今も海の中で夢を見ている」
ゆらゆらと身体が揺れる海の中は
あまりにも心地よくて、幸せで
私は沢山のことを忘れていくの。
かなしかったこと、つらかったこと、
痛みがやさしく海に溶けていく。
浜辺でいつかのこと、あなたとよく会っていたことを
思い出して。その記憶さえも、
この美しい海のひとつとなって、ざぶりと音を立てた。
☆イラスト:Merrill Macnaut様
ボーカル:がお様
ミックス:Rist.NS様
マスタリング:マシュー様
6月17日~19日に行われるAPOLLO第四回にて
リリース予定の新作アルバム「少女の海から」より。
ティザーサイト公開中。