心の奥底にきれいな水を注ぎたい
2018/12/04
/YOUTUBE版
心の奥底にきれいな水を注ぎたい。
そう思って、蛇口をひねった、
心の入り口から流し込むのだ、
喉を潤す、だけれどそれ以上奥には
流れ落ちなくて
口から溺れるように溢れ返ってしまって
身体はいつの間にか水の中だ、
足もつかないその水の中で
なんとか泳ごうとして腕でかき回して
必死に、必死に息を止めて
抗った。
心の奥底にきれいな水を注ぎたい、
ただそれだけだったんだ。
心の奥底にきれいな水を注ぎたい、
ただそれだけだったんだ。
Don`t tell
2018/11/05
ざわりと香る、夜のこと。
ぱきりぱきり、と音を立てて
それを包んでいた殻が割れだした。
露わになったその姿はすごく滑稽だ、
醜くて見れるものではなかった、
露わになったその姿は
今まで目をそらしていた自分の姿だ。
一メートルぐらいの距離で
あなたをずっと見つめていたが
あなたも私を見ていなかった。
ざわざわと外では風が荒れ狂っていた。
これ程にずっとあなたのことを
見放していたことに気が付く。
あなたの瞳に魂は宿ってなかった。
私はただただ、そこで立ち尽くした
音は色褪せることがなかった
2018/10/22
/YOUTUBE版
きらきらと瞬きをする、教室だ。
肌色のカーテンゆれていた。
次第に鍵盤を奏ではじめた。
一斉に歌い始めた、
ざわりと心が震えた、
意識はどんどん深くのめりこんでいく、
歌声と教室のピアノの音が体中を支配した。
あのまっすぐな瞳。
「ここに、いたんだね。」
彼女はその教室の一番後ろで眺めていた。
やさしい音が次第にやってくる。
ここにいた確かなこと。
気が付いたら瞳は濡れていて
ベッドの上にいた。
容広げて生きていくなら
2018/10/20
何もいらないはずだった、
だけど抱えているかけがえのないものが
あまりにも多すぎた、
いつしか選べなくなっていた。
どう考えても行き着く答えはわかっているのに
受け入れられない、
それなら全て抱えて生きていったほうがいいと
乾ききった心を潤してくれたことを
胸に刻みながら、光をくれたことを
想う。
抱えきれないのなら、自分の心を
もっともっと広げていけばいい。
この世界に身を任せながら
2018/10/05
風の季節の訪れ。10月はやってきた。
ゆっくりと自転車を漕げば
道路わきに花たちがたくましく伸びていた、
涼やかな空気、焦げるような田畑の匂い、
久しぶりに見上げた空は
高く、高く澄んでいた。
もう深呼吸はいらない、道しるべもいらない、
背中を押す風さえも。
育ったこの場所さえ
感じなかった。
全て感じなくても、走らなくても
魂を注がなくても、
考えながら生きていかなくても
もういいでしょう。
すっと手を伸ばして
足をふわりと浮かせたら
いつの間にか世界と一緒に生きていたのです。