パラソル・トーキョー
2024/05/14
パラソルが揺れていた。
それは五月のこと。
忘れてたものを拾いに来た。
足跡がいくつも転がっていて
変わっていたものもあった。
そして変わらないものもあった。
やがて雨が降り始めた。
確かなあの日の記憶を、思い出していた。
新幹線のベルが轟く。
交錯する人達の喧騒がベルの音に混じった。
ここにいたから今私はこうして
笑っていられるのだろう。
そう言って、新幹線へ飛び乗った。
窓の向こうで君はおぼろげに笑っていた。
行かなくちゃ。
熱情の瞳
2024/04/30
絶望の雷は幾度もなく落ちてきた。
大ぶりの雨が叩きつける。
言い訳は何度だってしただろう。
叫んで泣いて怒って
その一瞬の日を幾度も憎んだ。
それは、呪いでもあった。
投げだしたら何も残らないから。
体や心が削れ果てても
どんなに絶望しても
気が付いたら手や足は動き始めていた。
これしかないんだって苦笑いした。
だって全てこれしかなかったから。
まるで呪いだ。
やめたくても、やめたくても
やめられない。
投げ出すことは簡単なはずなのに
それが出来ない。
どうしてかすがるように
しがみついて
気が付いたらまた私はここにいたんだ。
だってそうでしょう、
そのために、今まで生きてきたのだから。
動け。手を休めないで
足を動かし、言い訳なんてしないで
動き続けろ。
動き続けろ。
命を懸けて
2024/03/27
よくわからないんだ。
どうしたらいいか
どう進めば
全てを捨てたらいい?
やりたいことをあきらめればいい?
それとも全部やめたらいい?
何度も何度も頭を打ち付けて
叫んでは獣みたいに鳴いて
わからなくてわからなくて
幾年も彷徨い続けた。
それでも、それでも
続けたいって
雪が降り始めた頃
もう、期待なんてやめてさ、
力を抜いて、
結果なんていいからやり抜いていこうって決めた。
自分は才がないから、
才なんてこれっぽっちもないから
受け止めて
そっと、熱く表現していって
紡いでいった。
春のこと、君に私はこう言った。
「あきらめなくて本当によかった」
続けていたらいつかは……
期待はそれでもしない、
だけどちょっとだけど息ができるようになった、
才は相変わらずない
だけれど、やりたいことがあるなら
血を吐くぐらいやり続けるんだ。
熱を帯びた夜に笑顔でしなやかに
2024/03/04
前のめりになってがむしゃらに
どうしてもうまくいかなくて
叫んで手を伸ばして
届かなくてずっと届かなくて
だけど季節だけは巡っていった、
だけれど私はずっとそのことが好きだった、
やり続けたくて負けたくなくて
言い聞かせた。
私は、やり続けるんだと。
例え叶わなくても続けようって
何度も自分にいい続けて
ある時光輝く場所で私はそれを披露した
泳ぐように舞うように
自由自在に私は踊り続けた。
汗だくで、泥まみれなのに
何故だか私はすごく呼吸が出来て
本当に好きなんだって笑った。
足りないものだらけの私の踊りは
まるで滑稽だ。だけれど
すごく笑顔で好きなんだって思ったんだ。
night road
2023/11/29
風が吹いていた
確かな風だ
それは夜のこと
街灯の少ない道をカーブする
点滅する信号機
確かな風が吹きつけてきた
それは、願ってた風だ……
風が吹いていた
確かな風だ
それは今日までの……
高速で追い越していくワゴン
僕らどこまで行く?
確かな風が吹きつけてきた
それは、いつまで吹くの?
風が吹いていた
確かな風だ
それは夜のこと
街灯の少ない道をカーブする
点滅する信号機
確かな風が吹きつけてきた
それは、私を歩かせる風だ……
一瞬の風が飛んでいく
2023/11/11
夕暮れが海へと消えてく。
その風景を眺めてる私は
君の横顔を見て、こんなふうに
ずっときれいな風景を
君の隣で見ていたいと願った。
あっという間に過ぎる秋の終わり、
冬の始まり。一年一年が
一瞬で過ぎて
風のように吹き飛んでいく。
明日も、明後日も。その次の日も。
きっとそんな風に
一瞬の風みたいに
飛んでいくんだ。