冬から春へ
2019/01/30

冷たい風がゴウゴウと轟くように音を立てていた。
心の隙間に吹いて、日常はさらに白く
塗りつぶされるようだった。
それでも。
思うのは、春のことだ。春になったら、
君と会ったり、出かけたりして
沢山の夢を叶えたい。
冬までのことをうそだったみたいに
桜と一緒に散らせて、歩いていくんだ。
会いたい。
君や、友達や、まだ会ったことのない人たちにも。
会って、お話をして、一緒にご飯を食べたり、
紅茶のお店に行ったり、春を見たり、
夏を見たり、秋だってこのまま巡っていくんだ。
冷たい風は負けてしまいそうなぐらい強く吹いていた。
もう嫌だなだなんて、言ってしまった。
だけれど。
もうすぐ春が来るから、春はいつだって
来るから。想いをのせて
強く、強く。願いつづける。
心の奥底にきれいな水を注ぎたい
2018/12/04


/YOUTUBE版
心の奥底にきれいな水を注ぎたい。
そう思って、蛇口をひねった、
心の入り口から流し込むのだ、
喉を潤す、だけれどそれ以上奥には
流れ落ちなくて
口から溺れるように溢れ返ってしまって
身体はいつの間にか水の中だ、
足もつかないその水の中で
なんとか泳ごうとして腕でかき回して
必死に、必死に息を止めて
抗った。
心の奥底にきれいな水を注ぎたい、
ただそれだけだったんだ。
心の奥底にきれいな水を注ぎたい、
ただそれだけだったんだ。
Don`t tell
2018/11/05


ざわりと香る、夜のこと。
ぱきりぱきり、と音を立てて
それを包んでいた殻が割れだした。
露わになったその姿はすごく滑稽だ、
醜くて見れるものではなかった、
露わになったその姿は
今まで目をそらしていた自分の姿だ。
一メートルぐらいの距離で
あなたをずっと見つめていたが
あなたも私を見ていなかった。
ざわざわと外では風が荒れ狂っていた。
これ程にずっとあなたのことを
見放していたことに気が付く。
あなたの瞳に魂は宿ってなかった。
私はただただ、そこで立ち尽くした
音は色褪せることがなかった
2018/10/22


/YOUTUBE版
きらきらと瞬きをする、教室だ。
肌色のカーテンゆれていた。
次第に鍵盤を奏ではじめた。
一斉に歌い始めた、
ざわりと心が震えた、
意識はどんどん深くのめりこんでいく、
歌声と教室のピアノの音が体中を支配した。
あのまっすぐな瞳。
「ここに、いたんだね。」
彼女はその教室の一番後ろで眺めていた。
やさしい音が次第にやってくる。
ここにいた確かなこと。
気が付いたら瞳は濡れていて
ベッドの上にいた。
容広げて生きていくなら
2018/10/20


何もいらないはずだった、
だけど抱えているかけがえのないものが
あまりにも多すぎた、
いつしか選べなくなっていた。
どう考えても行き着く答えはわかっているのに
受け入れられない、
それなら全て抱えて生きていったほうがいいと
乾ききった心を潤してくれたことを
胸に刻みながら、光をくれたことを
想う。
抱えきれないのなら、自分の心を
もっともっと広げていけばいい。