静寂は春雨に消えて
2015/03/10

/YOUTUBE|MV版
静かな夜の中でざわめくように桜がないていた。
やさしく雨音がぽつりぽつりと、
一緒につもっていくのだった。
布団の中で瞼を閉じて、その音を聴いていた。
やさしい調べが浅はかなわたしの心に沁みていく。
銃声。走る少年 ver.demo
2015/02/27

全力で走るしかなかった。
今の俺にはそうすることしかできなかった。
足を精一杯動かして、走り続ける。
それが今の俺にできること。
「待てぇっ…―――――止まりやがれ!大野大地!!」
一人、いや二人…もしくは三人、それ以上?
静まり返る海が近い港の倉庫が並ぶ中、
俺は奴らから逃げていた。
息が切れる中、建物と建物の間の狭い路地を見つけ、
そこに転がりこむように入った。
息を吸って吐いて、整える。奴らは近くにいる。
油断はできない。
壁に寄っかかりながら、ポケットから飴玉を取り出して
口の中に放り込んだ。
☆2015春M3で頒布予定の新作アルバム、
「フエラムネの向こう側」より収録トラック。
マスタリングは今作は「pebble」に引き続き、
高岡兼時さんにお願いしております。
こちらはマスタリング済みです。本収録ではfull版です。
今作は、宵町めめさんによる、
ブックレットイラスト集付きです。
ジャケットは、ブックレットに収録される
イラストの一部です。
春の朝に心うばわれて
2015/02/24

通り過ぎゆくその一瞬を
何と言い表したらしたらいいのだろう。
また、誰かが通り過ぎて、春の駅は
ふわりと温い風に、包みかえっていた。
ただ朦朧とした視界に、駅のアナウンスが黄色く瞬くだけ。
ここにしばらく私は座って、行きゆく人や急ぐ人を見つめて
そっと耳を傾けて、電車の音をゆっくりと聴いていた。
Angel Doll
2014/12/20


「お願い。一週間だけ、ここに居させてほしいの」
“エンジェルドール”と呼ばれる
ヒューマノイドが市販されている現代日本。
大学生・哲の家に、ある日突然、
行方不明になっていた恋人そっくりのドールが現れた。
七日間の約束として、哲は人形を「人間」として扱い、
匿うことにしたのだが……
☆noteにて蜂八憲さんの連載小説の
イラストと音楽を担当させて頂きました。
小説『Angel Doll』はnoteにて全10話を公開中です。
第1話はこちらから。こちらはテーマ曲となっております。
君の標。
2014/11/21

まるで、雪が深いように心にいくつもの影が差した。
私は、臆病になりかけていた。
強く生きようと思えば思うほど、
立ちはだかる壁は大きく、人を疑い、
不安が募り、至る所に恐怖が襲う。
まるで、心の中にいくつものの棘があるみたいだった。
強く生きようと思えば思うほど、
弱さを知る、涙を見る、叫んでしまいたいぐらいだ。
慎重に、慎重に指先で音を探し、鳴らす日々。
それは長い冬のようで、
もう出たいよと言いながら、向かう日々。
出口の見えない根深い雪のトンネルで、
君と奏でる。君が悲しくないように、
君に真正面から向かって、想いを伝える。
凍てつく寒さを耐え忍ぶ冬が、君と私を包み込んだ。
どんなに光が見えなくても、たとえ光の方に
全く行けなくたっていい。どんなに寒くたって。
君の音を私は守り続ける。そうして、奏でるんだ。
君がいつまでも埃まみれにならないように。
私が触れ続ける。