向こうから雨音がきこえてくる
2013/07/23

東京のほうは、雨が降って、雷も鳴ってるそうだ。
新聞、この前の選挙のニュースを流し流し読んで、
こちらのほうはすごく晴れていますって呟こうとして、やめた。
夏風が元気よく吹き抜けて、夏野菜をたくさん食べて、
明日は怪しい雲行きだなって天気予報を見て。
傍観者 - Onlooker -
2013/07/18

遠くを見ていた。食器棚。少し見える台所。
憩いの食卓テーブル。ピアノを弾いている。
私は息をしている。
息をしているのもだんだんわかってきた。
今もどこかで、
救いようのない人たちがたくさん生きていて、
今もどこかで、
救いようのない人たちをばかにしている人たちが
たくさん生きていて、
今もどこかで、
ばかにされても理解できない人たちが
たくさん生きていて、
今もどこかで、
なにもそんなことを知らないで
日常を過ごして生きていく人たちがいて。
そういう中で、自分は生きていて。

風の泳ぐ街 - Town the wind is swiming -
2013/07/02

(ピアノソロ)
風を泳いだ、小麦畑を眺めて歩いた。
神社でお祈りをして、二十五円玉を入れる。
まだ私が小学生の頃通学路にしていた通りを
赤い自転車で抜ける。
動いていく、雲も、花も、大地も、風が通り過ぎていく。
生きている感覚を体の至る所で探った。
感覚は、もうなかった。
汗をびっしょりかいて、今日を生きる。
潤いの夏- Summer of moisture -
2013/07/01

開けたばかりのコーラ、ガラスのコップに注いだ。
小さな気泡が上昇していった、夏が来た。
夏に負けてしまった身体と心を横たわらせる。
近頃は、膝をカクンと立ちくらみばかり。
心の波は激しく打ち寄せたり、引いたりしていく。
わたしはこの夏を過ごす。
六月のひかり-Sunlight of June-
2013/06/27

(ピアノソロ)
黄桃の缶詰のような色をした雲から差し込む光。
横断歩道で待つ人は、たまにそんな光を見据えて、
明日のことや、遠い将来のこと、
家族のこと、恋人のことを、霞んだ心の持ち様にて。想う。
ダ・カーポの朝
2013/06/11

うるさく鳴り響く目覚まし時計を止めた。
目を覚ましたら今日になっていた。
重い体を勢いつけて起こす。今日も一日が始まる。
重たい体を運んでくれる電車は
わずか10分の時間だけ私と共にする。
うとうと、と瞼を閉じたりして、
リュックサックを抱えながら揺れる。
目の前の座席は日当たりがよく、
避けるようにして座った日陰の席。
がらりと、数えれるだけの人が揺られている。
この前と一緒だ、と思った。
今日もなんてことのない一日が
時間とともに流れて、
今日もなんてことなく終わっていく。
それがつらい。
それがつらくて、またうるさく鳴り響く目覚まし時計を止めた。
目を覚ましたら今日になっていた。