湖のほとりで呼ばれている
2020/08/11


現影の日から、時を経て
この場所、この地へ降り立った。
見る場所は知らない世界だけれど
徐々に電車を乗っている間に
ふしぎと懐かしくて
訪れた湖は
まるで呼んでいるみたいな心地で
波は穏やかで
つらいことも疲れも苦しみも
すべて波がさらってくれるみたいで
こんなに空気が澄んでいるのなら
今日は思いっきり深呼吸してみようって
思った、今、空を飛んで
湖にさらわれてどこまでもゆけるみたいだ。
誰よりも飛び立つ心があるなら
2020/07/29


終わらない、すべては終わらないのだ。
ずっとここから
どこまでも続いてゆく。
いくつもの振動を成した音たちは
瞬く間に騒がしく鳴り始めた。
その途端空気が変わって
彩りの幻想が浮かび上がった。
滑走路を駆け始めて、
今、飛び立とうとしている。
確信に近づいた私たちは
どこにいても
信じ続ける、
終わらないレールがずっと彼方まで
続いてゆく。
ゆこう、ここから何十年も
私たちはずっと
ずっと、
ずっと、一緒だ。
「進行方向は君と逆 -after-」
2020/03/21


遠くにゆこう。
もうここに帰らなくていい。
君は、桜みたいに電車に乗って消えた。
手を伸ばすだけ苦しいのなら
思い出せないように
私も遠くにゆくんだ。
遠くまで、どこまでも。
大切に出来なかった日のことが
まだ心に沁みこんでざわめきを止めない。
留まってしまった日のこと、
その日のこと
突き刺さって
刃はかなしいほど痛い。
遠くにゆこう。
決別のために。
私は、桜みたいに電車に乗って消えた。
☆同時更新のpixivFANBOXで公開の
「進行方向は君と逆 -today-」と姉妹曲のほか、
CD+小説本「少女炭酸集」や
「まどろみの中の目隠し」、「夏が寄せた幻」とも
リンクしてます。
水と石の入ったボトル
2020/02/28


水分の沢山含んだ雪が
降り続ける。ざわざわとうねり始める
その世界でその色に染まらないように
ただ自分の信念を曲げないようにして
手を動かし始めた。
出来ることなら、もっと
動けたらとも思うのだ。
若干湿った外の世界は静かなのに
混沌としている。
一歩、また一歩、心は雪のように
冷たい。
身体は、熱い。
それなら、まだ死んでいなかったのだろうと
思う。抜け殻みたいなボトルに
水分が溜まっていく。
information gets complicated
2020/02/26


絡み合った糸が解けては
またほかの糸と絡み合い
またそのほかの糸と絡み合い
沢山の糸が絡み合っていく。
そんな中でただただ、佇んで
傍観するしかなくて。
錯綜する、混沌とする、
どんどん、どんどん加速を増していく。
かなしみの糸がどんどん絡み合う。
糸はどんどん、どんどん
絡み合う。
私はただ今その糸に絡まれないように
その糸を触れないように
ただ、ただ自分の中にある糸をしまっておくのだ。