「橙」 一覧
2016/01/12
それまでは、静かに会話をしていたように思う。
高架塔がちかちかと、赤く点灯して
沈黙する私たちは外の風景を眺めていた。
暖かい色をした電車が冷たく追い越していく。
窓の向こうの風景に魅せられて、心が膨張していく。
更新履歴 橙
2015/12/23
窓の向こう、空を見上げた。
星や満月がやさしく笑うから、僕もそっと笑い返す。
なにを想おう、なにを祈ろう、今日は特別な日。
あたたかな場所へ向かう。
街へと、雪や光の中で君を見つけた。
手を振れば、君は雪のように笑ったのだった。
更新履歴 橙
2015/10/07
いつだって、探しものをして生きている。
昨日出ていた月だって、
どこへ行ってしまったのだろう。
明日が怖い日々は、どうしてなくなったのだろう。
変わっていく、ものたちが
いくつもあるから、明日へと向かうのだろう。
更新履歴 橙
2015/06/18
「うちへ、かえろう。」
電車は、よこや、たてに 揺れて
カーブへと 接していた。
車窓から見える先頭車両 が
ずーっと この線路を ひっぱっていた。
疲れて からっぽな私を ずーっと連れていくの。
車窓からは 夕焼けが 空に沁み渡るように広がる。
「うちへ、かえろう。」
そうしたほうが、いいと
空が言っているのだ。
「うちへ、かえろう。」
更新履歴 橙
2015/06/06
窓から、茜色の夕焼けがぼうっと霞むように照りつけた。
本棚にも茜色の光が射して、図書室は茜色に染まるのだった。
向こう側から電車が走る音が遠く聞こえた。
静かな図書室だから、色んな音や光が
よく聞こえたり、見えたりしたのだった。
そっと瞼を閉じて、かけがえのないものに全てを研ぎ澄ませて馳せた。
更新履歴 橙
2014/08/26
今日はやけに涼しいので、一枚カーディガンを羽織った。
淡い空が高い雲を静かに泳がせる。
ゆっくり、ゆっくり時間が過ぎていくようで
一瞬は加速するように終わるのだ。
風に揺れるススキをそっとつまむように手を伸ばした。
秋が近い。自然と運ぶ足先がよく知っている。
更新履歴 橙
2014/07/03
午後、4時過ぎ。そっとドアを開けてのぞんだ世界は
太陽が傾いて草原に光が寝転がる。
空は、静かに佇んでいて現実を少しだけ忘れた。
ゆっくり、ゆっくりと歩けば転ぶこともなく、
よく世界が見えた。時計は見ない。
風に吹かれていると、心が水の中にいるみたいで
日差しに照らされ、ぼやけた視界に目をこすった。
更新履歴 ピアノ即興 橙
2014/02/03
風が走れば、どこへだって飛んで行けそうだ。
もっと、深く呼吸をしてもいい。
もっと、活き活きと歩いてもいい。
もっと、遠くのほうまで体を泳がせたい。
もっと、夢でなく、確かに現実であることを認識して、
心を開いて、歩くほどに強く。生きていきたい。
更新履歴 橙
2014/01/29
内容なんて、なかったんだ。理由だって、なかったんだ。
ただ、無心で夢中になって、時間を忘れてさ。
そうやって、紡ぐことがほんとうに大切だったんだ。
夜だって、朝だって、いらなかったんだ。
ただ、息をして、毎日素敵に笑いあうことが出来たら、
もうそれでよかったんだ。
そう、君は笑って、ほんのり泣いていた。
ピアノ即興 橙
2014/01/06
セピア色のコントラストに白の浮き上がった雪たちが
少し暮れた夜の世界に、降りそそいでは、どこかに消えた。
白の絨毯を埋まるように歩いていけば
こんな雪の日が悪くはなくて。
雪が降るたびに思い出すんだと、笑った。
音が鳴る世界では、心が共鳴するように伝わって。
冷たくなる手を、強くはなく、離れない強さで、握った。
心地よい調べが、街を降りそそぐ。
それは、いつだってきれいで。
焼き付けるように刻むように瞼を開いては閉じた。
心のドアが今、開いている。
やさしい風が吹いては、撫でるように歌う。
怖いことなんてない。なににも代えれない大切なものが、
この世界にあることを知った。
それを、しあわせと呼ぶのだと、知った。
更新履歴 橙
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