途端、雷とともに雨は降りだした
2017/08/24
ピシャリ、と刺々しい雷が
風景を白、それから黒に
染めて。すぐそこまで追いかけてきた。
渦を巻いている大きな雲も
少しずつ勢いを増している、
息が苦しいぐらい湿度は高く、
体は動かない、雨が降り出してきた、
逃げられない、
その風が近づく、雨音は叩き付ける、
息を呑む、瞬間、走り出した。
空中ブランコに寄せて
2017/02/05
決して楽しくはないこの場所で
唯一乗れる空中ブランコは心を癒してくれる。
憂鬱な気持ちは風に運ばれて
ぴゅうっと廻った、
そうして加速する、吹かれては瞼をとじて。
海は笑うようで
2016/10/15
「また、海を見てたんだね」
海は教えてくれる。ここにいなくちゃいけないと。
ずっと背負い続けなきゃ、いけないと。
夜が来るたびに、黒い闇が迫ってきて、
あの子のことを考えながら、眠りについて、
朝になって、海の音が聞こえて、
あの子のことを思い出して、過ごして。
隠れていた月に、雲がだんだん流れて、
おぼろげに光を帯びて姿を現した。
月が静かに、海へと映って揺らいでいた。
今日も、明日も、明後日も、
苦しみ続けるいつもの風景は、
ゆっくりと動き出していた。
☆2017冬公開予定、
「朝焼けのブルー? - Mezzo forte episode -」より。
ほんとうのことをはなそう
2016/06/17
ほんとうのことを、はなそう。
踏み出せなかった一歩が、ようやく踏めたその日、
私は大切なことをおもいだした。
傷ついて、伝えることすらおびえて
かくして、にげて、そうして誤魔化して
ほんとうのことを言えずにいた。
怒った私を殺して、なかったことにしてた、
ほんとうのことをはなそう。
今度こそ、大切な誰かを傷つけてしまう前に。
ほんとうのことをはなそう。