彷徨う秋の心は始まっていた
2019/09/05
「まだ、暑いや。暑いけど
ときどき寒いや。」
体はついていかなくて心も
思い通りに動かなくて
もっと思うままに
生きていくことができたら
よかっただろう。
秋のはじめのこと。一人思いました。
どうしたらいいか、考えました。
山吹色の秋に飛び乗って
2019/09/04
豪雨だ。ピシャリピシャリと
打ち付けて。雷も鳴っている。
思い通りにはいかなくて。
吊るされたように
まるで身動きが取れなくなっていた。
「だけれどそれは、あなたが
表したいことを
表したい方法で
表していかないからだ。」
秋の初め頃、気がついたように
走り出していった。
失ったこと、置いてきたこと、
また、表すために
風に乗って、山吹色の稲穂畑が
連なる上をまっすぐと
思うがままに飛んでいくのだ。
現影の日に
2019/06/14
風が吹いてきたので窓を閉じました。
手帳を開いて予定を確認します。
毎日は瞬間とともにページが変わっていきます。
毎日積み重なる日々は重たいようで
手放してはいけない記録帳です。
振り返ることはあまりしなくなりましたが
記録することはやめてはいけないと
自分に唱えました。
あの日工場からもくもくと煙が出ていて
まだこんなにしか
世界を見れていないと知りました。
窓をまた閉じました。
風が吹かないように全ての窓を閉じました。
光は届くべき場所に
幸せは大切な人の場所に
かなしみは分かち合いたいです。
心に新しいかなしみを注ぎました。
明日から私が記録するのは
表していくことは
自分だけの為ではないのです。
私と言葉と
2019/04/17
「お前はなんのために言葉を、紡ぐのだ」
老人は、そう言う。
自分のため。誰かのため。
いや、誰の為でもないのかもしれない。
そこに、意味は成してないのかもしれない。
言葉と初めて向き合ってから
幾つもの時が流れて、幾つものの
呼吸のしにくさを感じた。苦しさばかりだった。
「こんなに大切に、言葉を、できないのなら
言葉などいらないです」
言葉はあるとき他人を傷つけた。
言葉は跳ね返って自分を苦しめた。
そんな言葉なら、言葉などいらないと願った。
口を塞ぎ、目を閉じて、だけれどそれは違った。
そのことにある日を境に気付いた。
「言葉は、苦しんだり、他人を傷つけるものではないのだ」
言葉があるから、生かされたり、
誰かに救われたこともあった。
言葉が自分のためになることもあった。
「言葉は、ただの、道具だ」
一瞬、一瞬、ガラクタのような文字列が心に転がっている。
一瞬、一瞬、私は言葉を使って、
私も、世界を、少しでも楽に、
少しでも幸せにできたら
自分の心が、全てをあらわしている。
心から綺麗に洗浄して、
いきましょう、わかったのなら、もう口を塞ぐことはない。
ゆこう。
日曜の夜。列車に乗って
2019/04/04
日曜の夜は何となく好きだ。
がらりと空席の多い電車で
運ばれてゆく人たちは
今日も仕事で疲れてる人や
明日からの憂鬱に俯いてる人、
しゃべりあって最寄り駅まで辿りつく
二人組みの女の子達。
そこに、物語があり、
続いている。
電車は今日も月曜までへと
運びゆくのだ。