楽園の海
2021/08/25
真夏が過ぎた頃、大雨が降って
少しだけ涼やかな風が
吹いてきた。
私は深呼吸して
安堵のあたたかい海の中で
泳いでいた。
ゆこうと思えば
どこまでだって泳げる海だった。
楽しくはしゃいで
水面に顔を出すと
なぜだか苦しかった。
自分の生きてる世界に
違和感を覚えた。
必死に走ってきた。
この海に潜るまで
ずっとずっと必死だった。
繋ぎとめていたのは
私が選んだ道ではあった。
だけれど今はこのぬるま湯の
海の中で
沢山の人と笑っていたいから
そっと、閉じた。
更新履歴 ピアノ即興 紫