離別を越えて
2025/05/11


夢の中で蓮の花が開いて
あなたはその中で笑っていたのだ。
何度だって夢を見て、
目が覚めたら涙が止まらなくて
幾度も幾度も夢で再会した。
夢を見る度に、"もうすぐ"なんだって思った。
全てが終わった瞬間涙は滝のように溢れて
そのまま全て自分の心が流れ落ちて
あのひまわり畑の日のこと、
花火をしたこと
いつもお稲荷さんを作ってくれたこと
寝る時いつも手を繋いだことが
走馬灯のように溢れた。
あなたは背中をぽん、と押して
そのまま歩けないままの私を
押し出すようにしてその場所から
突き落とした。
踏ん張っていた力が抜けて
そのままどこまでもどこまでも
落下していく。
瞼を閉じて、乱気流に飲まれて
嫌でも現実へと戻されていくのだった。
気がつけばまた夢を見た。
それは幸せな夢だ。
あなたと過ごした日のことを
苦しいほどに思い出す。
あなたは微笑んで
光る蓮の中へ消えていった。