穏やかな破裂
2023/06/12
拍手とともに視界は真っ暗になった。
幾度もそれを経験した。
幾度も折れそうになった心を
僅かな光の綱で留めていた。
でも、やがてそれは破裂した。
それは、穏やかな破裂だった。
生き甲斐としてたことをあきらめたら
すごくほっとして、ゆるやかな風が吹いてきて
「それでいいんだよ」って
君は悲しそうに笑った。
拍手とともに視界は薄れていく。
もう何も考えることができない。
何度も頭がショートして
眩暈が止まらなくなって
幾度も可笑しそうに笑って
何かのせいにして
自分の問題ではないって
目をそらした。
拍手とともに視界は何も見ることができない。
ここには私が一人、
ただ静かに静かに自分を外側から
見つめている。
何故だかほっとして
ずっと逃げたかったのかもしれない。
呪いは解けたのに。
なぜだろう、真っ暗な視界が
私を微笑させる。
それは穏やかに。
穏やかに。