光
2025/04/30


掻き毟りたいほどに頭をぐしゃぐしゃにして
爪をぐちゃぐちゃにし
息もできないぐらいに胸も気道も喉もおかしいのに
なぜだか、なぜだか確かな光の数々が
目の前で次々と降ってきた。
ここまで来るのに歩いた道は
でこぼこで大きな穴は開いてるし
何度も落っこちて怪我だらけだし
何度も泣いて叫んで苦しくて体中掻きむしって
もうこのまま動けなくてもいい、って
全てを投げ捨てようとしたことだってある。
でもなぜだかずっと前に、前に、
足を動かし、手を動かし続け、
命を削って、削って、削って、
削り続けて、
乾いた笑顔でにこにこして
まだ大丈夫だ、まだ大丈夫だって
壊れた形で壊れたまま
それはもうがむしゃらだ、
何度だって怪我をして体中を掻きむしって
ただただ、あの光の中に
また行きたいって
信じ続けた。
信じた。
あの光の中にいたことがあったから
あの光が忘れられないから
倒れそうでも立っていた、
笑顔で、笑顔で
い続けた。
まだ大丈夫だ、まだ大丈夫だって
体が動くまで、倒れるまで
息ができなくなるまで
燃えたぎっていた、
それはある意味壊れていただろう、
言葉にならなくて、
言葉に、ならなくて
言葉に……ならなかった。
光の岩が沢山降ってきた。
まるで痛いぐらいにまばゆいひかり。
眩しすぎて声が途切れて
だんだんしゃべれなくなった。
でも、楽しい、でも楽しい、楽しい、楽しい、
楽しいんだ……
気がついたら、また歩いていた。
気がついたら、また手を動かしてた。
気がついたら、またここにいた。
気がついたら、またここにいた。