まだ、あの美しい風景に留まりたい
2017/09/21
ちゃんと持ち帰った筈だった
けれど鞄から取り出したものは
もう全て虚像でしかなかった。
見た景色は全て褪せて、
だんだんこの焼きついた景色も
加速する時間とともに
褪せていく。
褪せても尚、心の中には
確かな形のない証拠が存在していて
私はここであの美しい風景を見てたんだよって
強く、言い聞かせた。
そこにいて、今もいる。
ここにいるのに今いない、
心はまだあの風景の中で
愛しいまま留まっているんだ。
それでいいでしょう、しばらくは
うんと思いっきりいつまでも
ここにいても尚焼き付けながら
もういいでしょう、ってところまで
見てきたら、帰っておいで。