君の標。
2014/11/21
まるで、雪が深いように心にいくつもの影が差した。
私は、臆病になりかけていた。
強く生きようと思えば思うほど、
立ちはだかる壁は大きく、人を疑い、
不安が募り、至る所に恐怖が襲う。
まるで、心の中にいくつものの棘があるみたいだった。
強く生きようと思えば思うほど、
弱さを知る、涙を見る、叫んでしまいたいぐらいだ。
慎重に、慎重に指先で音を探し、鳴らす日々。
それは長い冬のようで、
もう出たいよと言いながら、向かう日々。
出口の見えない根深い雪のトンネルで、
君と奏でる。君が悲しくないように、
君に真正面から向かって、想いを伝える。
凍てつく寒さを耐え忍ぶ冬が、君と私を包み込んだ。
どんなに光が見えなくても、たとえ光の方に
全く行けなくたっていい。どんなに寒くたって。
君の音を私は守り続ける。そうして、奏でるんだ。
君がいつまでも埃まみれにならないように。
私が触れ続ける。