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「 倦怠日々訪れは素材利用不可 」 一覧

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今年の夏、さよなら(7つの調べ)

2013/06/03

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全7曲構成。
訪れ
(訪れ)
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22度目の夏を迎えた。風はなく、蜃気楼には遠い。
アスファルトに熱がこもって、僕の視界もやがて溶けていく。
入道雲はゆっくり流れていた。時間もそうして流れては、いく。
誰かの手を放しても、誰かに手放されても、
遠いどこかで誰かが殺されても、
病で誰かが死んでしまっても、
流れていくんだ。

夏も、見えない風も、
僕も、
石ころも、明日も、今も、くだらないことも。

過去
(過去)
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紙ヒコーキ、飛ばしたね。夏の匂いが、したね。
川、落っこちたのは、私の心だったの。
トンボが、かなしくおよいでいるのは、夏だから。
身体中感じるのは、夏という温度や湿度、
耳を澄ましたらきこえる音。

また、もう一度、手紙を書いて、
あの川に紙ヒコーキ、飛ばしますね。
覚えていてください。

日々
(日々)
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あっ、動いた。動かないで。シャッターを切る。
レンズに写った君の顔、おかしい。思わず、笑ってしまう。

夏はだんだん、だんだん苦しいほど、暑さを増していく。
冷房の効いてる場所で、冷たい水をくちに運ぶ。

レンズにおさめた時はずっとずっと、夏のままなのにね。
ずっとずっと、そのままなのにね。

倦怠
(倦怠)
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気だるさ、嫌気のさすような、明るすぎる光。瞼を閉じる。
食欲もなくなってきている。
それでも動いている、時間と太陽と、
聳える雲と、光も、僕さえも。
だんだん、だんだん、この暑さにも慣れてくるんだろうか。

焦燥
(焦燥)
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カレンダーめくり忘れてるよ。めくっておこっか?
海に溺れたような息苦しさ、
視界には君がいる。セミが鳴いてる。
うるさい。セミが、君が、うるさい。うるさい。
泡を吹きそうな、気持ち悪さ。
風が開けっ放しの窓から吹いてきた。
カレンダーがめくれる。めくれて、
また先月のページに閉じられた。

幸福
(幸福)
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「―――――――――――――――。」

終り
(終り)
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その日は雨。22度目の夏の終りの音は、聞こえている。
雨も、流れていくんだ。
僕はもうすぐ、こんな風に夏を過ごすのは最後だとか、
思ったりするんだ。

雨はいつだって、やさしい。
雨はいつだって、つめたい。
雨が止んだら、また僕は、流れていきます。

これらの文章を読んでくださって、
もしかしたらわかる方いらっしゃるかもしれませんが、
僕、夏が好きなんです。

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