現実と逃避の一線
2020/05/26
確かなる安定さを感じていた
できればこのまま雨も雷も嵐も
浴びずに
走り抜けてしまいたかった。
それはススキと田んぼが香る
ゆっくりと時間が流れる
あの場所だった。
ここにはない確かな流れが
その場所には流れていた。
長い雨の中、夜のこと
願い、信じ続けた、
“信じるものの幸福”を信じ続けた。
限りある時間を無駄にしたくないと
咽び泣いた。
ひどい雷だ。だんだん意識は朦朧として
霧に誘われて……
確かなる安定さを感じていた
できればこのまま雨も氷も吹雪も
浴びずに
あの場所へ行きたい。
更新履歴 ピアノ即興 桃色